Let’s Dance!

書いたやつ:若き日のせれろん

 

 思い返せば1年前,私の自宅宛にある封筒が届いてから私達,いやこの町が変わってしまったのはその時からだ.私はいつもどおり自宅で,妻とテレビを見ていた.ちょうど夕飯時だったそのころ,いつも仕事の帰りが早かった金曜.「24時間テレビ(2時間スペシャル)」を見ながら私達は夕食を取る.しかし,そんな毎日に,突然終わりを宣告される.

 

「ドカーン!!」

 

 私の家のインターホンが鳴った.またarnazonからの荷物か.近所の個人経営の商店「arnazon」ではよく出前を利用することも少なくはなかった私達は,お互い頼んだ覚えのない注文を意外に思いつつも玄関を開ける.

 

「こんちわー郵便です」

 

 無意識のうちに受け取っていた.思えばこれが間違いだったのだろうか.配達員のコスプレをした近所のおばさんから受け取ったのは封筒.それも見れば見るほど不可解な点に気づく.まず,差出人の情報が,

 

「これ,steveか?」

 

 中学校のころの同級生に心当たりがある.Steveはそのころ密かにyoutuberを目指しており,実際に動画を上げていたこともあった.最初は順調に活動をしていたsteveだった.しかしある日事件が起こった.クラスメートにアカウントが発見され,見事教室の黒板,そのど真ん中にチャンネル名とURLを晒されてしまったのだ.クラス中に冷やかされるstevesteve9472@彼女募集中).どうしようもない悔しさが渦巻く.

 

「俺は間違っていたのだろうか.モンストのプレイ動画で天下を取ろうとしたのは愚かだったのか?」

 

 そのように自分を問い詰めるsteve.しかし彼は諦めなかった.

 

「絶対俺は世界一のyoutuberになってやる!」

 

その日からstevesteve TV)はさらに気合を入れ,動画づくりを頑張っていると聞く.最近ではアンチからの嫌がらせ対策として,毎月引っ越しているらしい.有名になると大変だ.

秋月の激安USBDACを試す

 

ようやく涼しくなってきたきょうこのごろ,私は以前より計画していたとある「ブツ」の検証の実行を行うべくネットへ.それは日本中の秋葉原に約76 %含まれると言われる伝説の店,秋月電子通商で販売されているUSBDACの基板.これがとても怪しいのだ.

 

 

 

 

これがその販売ページ.小型の基板が「完成品」として売られており,3Dプリンタとかで作ったケースに入れれば誰でも怪しい中華サイトの気分になれる,とても至って普通の商品だ.(強いて言うなら地味に性能が良いこと?)

 

しかし

 

 

 

 

600円!!

 

同サイトで2000円以上で販売される(それらはだいたい組み立てキットである.)10Wの性能を持つアンプが,基板完成品でしかもUSBの機能付きで600円というのはとんでもない破格である.このページだけamazonか!?となるくらい異質な印象を受ける.そしてそれは,「怪しい」ことの裏返し.さっそく購入の前に,私はこれに関する事前情報があったので,単体での購入はやめた.(情報の通り気軽なものではないので,手を出すことを躊躇していた.)

 

購入後,その基板は届いた.怪しい割にはしっかりとした作りになっており,一見普通にそのへんの電子機器の内部でバリバリ活躍していそうだ.まずはその説明書をご覧いただこう.

 

 

★注意★

1.ご使用になるには,はんだ付け作業をふくむ基板の改造が必要です.

 

!?

改造が必要だって!?しかもはんだ付けあり

 

 

 

 

 

※これは完成品です.

 

600円という価格の裏には,やはり何かがあったのだ.しかし動かないジャンク品ならまだしも,改造が必須の完成品とは初めて見るかもしれない.このカオスさがあるあたり,まだ電気街としての秋葉原は健在のようだ.はてさてその改造内容とは…?


 

 

  ß見えねぇ

 

 

見えない.

 

基板の裏側.そのど真ん中にはたしかに米粒ほどの大きさのチップ抵抗が密集する一角が存在した.おそらく機械の手によって行われたであろうきれいなはんだ付けによって張り付いているそのチップ抵抗を,人があとから撤去する??謎すぎる話だ.逆に,こんなもの堂々と売れるのは秋月くらいだ.

 

この時点で,価格につられて基板だけ買ってしまったDIYパパさん涙目である.しかし残念だったな.24時間365日ハンダゴテを握っている(そんなことはない)この俺にかかれば楽勝じゃああああ!!!

 

本当に毎日はんだ付けしていた中学末期や1年前ならな.

 

辛い.2重の意味で辛い.書くことが無いくらい何もない苦闘が続く.経験則からいうと,チップ部品は取れない.半田吸い取り線の届かない裏側と基板の間にまでハンダが及んでいるため,小手先にピンセットをつけない限り不可能に近い.まして機械のハンダ付けである.そして

 

 

 

パ キ     取れぬなら,破壊してしまえホトトギス

 

ニッパーでチップ抵抗の腹の両端を掴むと,思いっきり押し潰した.(捻るのもアリだが,極めて小型の場合ランドまで剥がれる恐れがある)「0」の印字があるチップ抵抗は小気味よい音を立てて砕け散った.残った端子部分の残骸をはんだごてでどけると,除去完了.さて,改造のステップ2へ.

 

ステップ2 繋ぐ.

説明書には,ビニル線などで,と案内があるが,撚り線など太い線は絶対使うべきではないだろう.ショートしてしまえば終わり.基板が壊れるどころではすまない.PCにつなげて使うから.一般のご家庭にあるエナメル線を使いましょう.

 

ああ

狭し.世界が狭い.私は爆弾解除班.この線を繋げば爆弾が安全になる.しかしショートすれば暴走して世界はたちまち火の海に!!さあ,全人類の運命やいかに!?1箇所目をつなぎ終える.ショートまで1mmもない針の穴ほどの隙間.それらを一跨ぎするこれまた小さい針金.手元が震え,額には汗がにじむ.「頑張れ!あと少しだ!!」そう応援する声援.「なにやってんだ!こんなとこで俺たち終わっていいのかよ!!また一緒にまずい寮食をくおうぜ!!」という必死な声.(寮おった頃はボッチだったしそんな熱いやつはいない.しかも再び寮食を食べることはない.誰だか知らんが哀れな脳内の住人

うるさいので脳内で永楽電気を流しつつ,黙々と作業に徹する.

 

 

<作業中に考えたクソコーナーのコーナー>

 

~いつも明るく~ にんじんショッピング!!!!

 

 こんにちは.今日ご紹介するのは,こちら.「にんじんナイフ」です!

 

へー.変わったナイフですね.それにしてもこのフォントって括弧を始めとした記号のたぐいが本当に味気ないですね~

 

料理を作ってみたけど,味気ない...そんな経験,ありますよね.そんなときこそ,このにんじんナイフなんです!!

 

使い方はかんたん.このナイフで野菜をきれば,ほらこの通り!!(おぉ~!)

驚きですよね!食材をいともかんたんにこのようにできるんです!!ほら,キャベツ一玉だってこの通り!!(おぉ~!)しかも余った食材はにんじん副教祖が全部食べてくれるんです!!これならご家庭でのゴミ排気量も激減!環境にも優しいんです.

 

なるほど~.それにしてもさっきからナイフの柄の部分の顔から「おぉ~!」という音声が流れて少し不気味じゃないですか?

 

お買い上げ方法は簡単.月々5000円の一回払です.今なら,シンプル&レトロで使いやすい,この、シンプルでレトロデザイン!おしゃれなにんじん副教祖の冷蔵庫も一緒におつけします.

 

お電話お待ちしています!~にんじんショッピング~~♪

 

ようやく二箇所目も配線が完了し,基板の改造から開放される.しかしまだ終わっていない.この基板にはUSBコネクタが付いていないので,それらの配線も行う必要があった.

しかしこの基板,本当に何なんだ.素性不明だが,販売ページにはMAC用に使われていたパーツとあるんだ.天下のAppleめ.様々なひとが様々な理由で苦しみ,訴訟を起こす中,Apple製品を全く使っていないApple空白地帯である我が家であっても1つAppleを起因とする苦しみが芽生えていた.しかしAppleは悪くないが.

 

USB基板部を作成する.一緒に買っていたタイプCコネクタとD基板,電解コンデンサを用意する.このアンプは,最大で2Aの電流が流れるとのこと.最近のUSBは供給できる電力が増えてきてるからまあ大丈夫だろうとは思うが,万が一瞬間的にUSBの電源ラインが不安定になってもコンデンサの蓄電でなんとかしようという目論見.

 

小さい基板.しかし久しぶりのはんだであり,腕の鈍りを感じる.錆取り用のテーマにはすこし重かったかもしれない.白色の箱状の物体.セメント抵抗はショートしても絶対に500mAまでしか流さないように挿入したが,電圧降下が大きく,PCUSB機器として正しく認識されないとのこと.残念ながら不要になった.

 

画像の左下の,USBバスを基板と接続.左右のスピーカは動作確認のあとに接続する.ようやく動作確認である.スティリオ・スピーカと注記されている端子にヘッドホンをつなぎ,USBを徐にPCにぶっ刺す.

 

見よ.

 

これが600+αUSBDACだ!

 

 今どきのPCのケーブルの先に謎基板という,中々にシュールな光景だが,立派に音が出ている.1ビット変換だのオペアンプ交換だのそんな話は無い極めて原始的な機能を全うするDACの姿があった.

 

 

 

ごちゃごちゃ部分の拡大.左から来ているのがPCにつながるUSBケーブル.電源基板を経由して右に見切れてる怪しい基板に至る.

 

さて

つくるか.

 ちゃんと使える代物にするために部品を買い足した結果合計1200円となってしまったが,それでも十分に安い金額だろう.そのうち100均辺りが目をつけそうだが

 黒いプラスチックケースにネジ穴を開け,大げさなスピーカー端子をつけるとパーツを固定する.ここまで来れば私は立派なUSBDAC職人になっていた.

 

完成!(ロゴのシールは貼り直し.)

 

 まあ音質だが,そんなに変わらないので,600円という値段相応だ.しかし低音,高温のブーストなど機能が意外と多く,アンプの出力も大きいので600円の割には,まともに使えるといった感じだ.最後に,いくつかの写真を掲載して締めくくる.オリジナルのガジェットを作る感動は何者にも代えがたいだろう.

 

 

 

 

 

 

ヘッドホンで通常使用できるレベルの音量

 

なぜかこのタブだけ英語.

音質は普通.スタジオの音質は600円でえられるそうな.